ゆりかごから墓場までの実情

イギリスと言えば「From the cradle to the grave(ゆりかごから墓場まで)」という手厚く保障されている社会福祉のイメージがあるけど、ゆりかごもお墓も、その途中を過ごす場所も、全部お金次第というのが現実で、叩いた金額に見合わない中途半端なサービスの施設で、虐待を受けたり惨めな思いをして人生を終わるのはまっぴらゴメンだと思っている高齢者も多く、90歳を越えても1人暮らしをしているという話も時々耳にしたり。

例に漏れず「施設で暮すなんて絶対にイヤ!」とずっと言い続けて来た義母の認知症が緩やかに始まってからの数年の間に彼女の後見人として、夫と共に様々な手続きをしながら目の当たりにする福祉政策は、簡素で合理的だなと感じることが度々あり、置かれている状況をより良くしたいのならばDIYを選ぶしかなく、こちらも腕次第のようで総合的な力が問われるのは必至。

話は戻って、年明けから急激に衰弱した義母がようやく大きな病院に収容されて、適切な処置を受けることができたのが約1ヶ月前。その前に2度も往診をお願いした医師(いつも懐に入って来る余剰予算のことばかり考えていて、なにかと渋り癖がある)の診断に納得が行かずに3度目に来てもらった時には、これでダメだったら救急車を呼ぶしかないと思うほどの状態だったので、最初から攻めの一手で押しまくって遂に入院の指示書を手配してもらうことになりましたが、その時のリアクションと言えば「本当に面倒な人ね」という渋面に加え、ため息まで。その後は「救急車が来るので待っててください」とさっさと帰られたけど、搬送時に、義母が一時仮死状態になったりと本当に危険な状態になりダメ医師確定。しっかりと人間性を見させてもらい、どんなに緊急でもこの人には金輪際お願いすることは無いという結論に至りましたが、思い返せば、GPの4人の医師の中で、常に当日往診に来れると言う点が既に大きなヒントだったなと。しかしながら、まさかここまで酷いとは・・・もう少し早いタイミングで見切りをつけるべきだったと猛省。

そんな経緯で自宅⇔病院の行き来をしながら、バーミンガムで一番大きく立派な病院(QE)の内部事情も目の当たりにする3週間を過ごしました。

一服
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諸外国からのスタッフも多く、皆さん一様に患者やその家族とトラブルにならないように気をつけて仕事をされていたのが印象的でしたが、ティータイムには付き添いの私にまで「ひと息ついてね」とお茶とビスケットが配られる寛大さにやっぱりイギリスだ!と感動したり、その反面で、義母のガウンや義歯が行方不明になり、問い合わせたら「たぶん、ゴミに紛れてしまった(つまり廃棄)」「病院のランドリーに一緒に持って行ってしまった可能性が(ほぼ見つからないだろう)」という大雑把な回答に眩暈がしたけど、人手不足は深刻なようで、バタバタと片付けたりする中でこのような事が起こるのだろうと諦めるしかありませんでした。

資料
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3週間も通っていると私も少しばかりの労力になり、スタッフの手が回らない時には備え付けの手袋を使って義母の身の回りの世話をしていたら、「ああ、あなたが居るのね」とすっかりアテにされたりもしましたが、そうでもしないと数時間待ちなんてことはザラという実情で、義母の退院の日も、昼過ぎから手続きが始まり家路に着けたのは、なんと、夜の9時という長い一日で、無料の医療サービスの限界を思い知ることになりました。退院時には、今後の投薬の詳細などの指導も受け、後日、入院中の記録の詳細も郵便で届き「後は自宅で管理してください」とのこと。

ズーム
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果たしてどのような経過だったのかと目を通すも、達筆に加え専門用語のオンパレードで撃沈・・・^^;それでも、謎解きのようにボチボチと毎日1枚ずつ読破しているところです。042.gif

ほとんどが80歳以上の患者が入院していた病棟だったので、この国のお年寄りの置かれている状況を知る機会にもなりましたが、子供との同居率がかなり低く、退院後もヘルパーが時間になってやって来る以外はすべて自力でやるしかないという厳しい現実がありました。「ここ(病院)だったら、ベッドの上で息を引き取っても直ぐに分かってもらえるから良いけどね・・」と皮肉まじりに話していた、義母と同じ部屋だったお婆さんの話を思い出しながら、同じく実家で祖母を看ている母から聞いた日本の現状と照らし合わせると、核家族化の進んだ先進国の状況はどこもあまり変らずという感じでしたが、結論としては、病院の選択肢はあまりないけど、医療費の心配がない点ではイギリスの方がまだ良いのかなとも。それでも、義母が入院した日のA&E(救急)は、中西部の他の病院が混み過ぎていて受け入れてもらえなかった10人以上の患者さん達がストレッチャーに乗せられたまま通路に放置されていたり、スタッフ間の連絡がいつも以上にうまく行ってなかった様で大混乱。経営難や経費削減が叫ばれて久しいNHSのこの先の医療サービスは大丈夫かなと心配になりました。

きっと、これからも益々、財政が厳しくなり、できる事は自宅(自力)でという方針が更に推奨されるのだろうなと思うと、20年から30年後のことを念頭に置いた中年期の過ごし方も鍵となりそうだなと、我が身の将来に備えても、ボチボチと準備を始めなくてはならない年齢に突入したのを実感する時間でした。
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by bham | 2016-02-25 14:21 | 医療と健康 | Trackback
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英国人と結婚し、ほぼ永住確定の中西部・バーミンガムにて、日々の生活のあれこれを綴っています。 << Copyright c2008-2017 Oh,Brummie!. All rights reserved. >>


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